Main gynecological diseases

産婦人科の主な疾患

月経異常(月経困難症・生理痛、月経不順、月経の量が多い・少ない)

月経困難症・生理痛

月経に伴って起こる下腹部痛などの症状により、日常生活に支障を来たし治療を要する状態の時、月経困難症と判断します。生理がある人のおよそ3人に1人に見られます。何らかの疾患があることで起こる器質性月経困難症と、原因となる疾患がない機能性月経困難症に分けられます。器質性月経困難症は、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮の形の異常などの病気が原因となります。治療は、痛み止め、ピル・漢方の内服、子宮内に器具をいれることなど様々な治療方法があります。
※婦人科を受診するのに早すぎる年齢というのはありません。初経が始まり、月経痛がつらい場合は早めに受診することで月経痛へ対処することができ、月経へのマイナスイメージを持たずに上手に付き合っていくことができます。「月経がつらい」という方は早めに受診してみてください。

月経不順

月経不順だけど忙しいし…と放置してきた方、月経不順なのか不正出血なのかわからないという方。月経不順の原因を知ることで思わぬ病気やがんが見つかったり、赤ちゃんが欲しい方には適切な治療法もありますのでお気軽にご相談ください。
月経周期というのは、月経の始まった日から次の月経の開始日前日までの日数を指します。正常な範囲は25日~38日で、月経周期が24日以内を頻発月経、39日以上を希発月経、90日以上停止した場合を続発性無月経といいます。
原因は急な体重の増減、精神的ストレス、激しい運動による負荷、薬剤の影響、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などがあげられます。その他、甲状腺や糖尿病など内科の病気とも関係しています。
原因によって治療法は異なります。経腟超音波検査で子宮や卵巣の状態を確認、血液検査をおこないます。薬が原因の場合は薬を中止してみることもあれば、ストレス等が原因の場合はできるだけストレスが緩和できるよう心掛けながら、経過を見ることもあります。治療方法はホルモン剤、漢方内服があります。

過多月経

「生理の量」は人と比べることはあまりないので自分で多い、少ないがわからないことも多いと思います。知らない間に貧血になっていて、治療をしたらずいぶん体が楽になった、勉強や部活、仕事の効率が上がったという方もいらっしゃいます。
一般的に月経血の量は20~140ml、平均50~60mlとされており、過多月経の定義としては、150mlかそれを超えて月経血が異常に多いことをいいます。実際に測るのは難しいですが、生理の時にレバー状の塊が混じっている方は過多月経が考えられます。過多月経の場合、貧血になることがあるので月経になるとめまい・動悸・疲れやすいなどの症状が出る人も過多月経が疑われます。因
原因として、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどがあります。黄体機能不全や無排卵性周期症などで破綻出血を起こし、結果として過多月経になる場合があります。
治療は、貧血がある場合には、鉄剤の使用、必要に応じ、ホルモン剤の内服をします。また子宮内に3㎝程度の小さな器具であるミレーナ※を入れることもあります。このほか手術による治療もあります。

※ミレーナとは

子宮内避妊具の一種で、レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)とも呼ばれます。

  • 妊娠を希望しないかた
  • 月経量が多い
  • 月経痛でお悩みの方
  • お薬の飲み忘れが心配な方
  • ピルがのめない方

以上の方が使用することが多いです。

おりもの・外陰部の異常

外陰部や腟のかゆみは、婦人科ではとても多い症状です。原因は細菌や真菌などの感染、ナプキンによるムレなど皮膚の炎症、性感染症※1、萎縮性膣炎※2による場合など様々です。

治療は、腟内に錠剤を入れたり、外陰部に薬を塗ることで軽快します。

※1性感染症

性行為を介して感染しますが、初期は感染していても自覚症状に乏しく、気づかないこともあります。主な性感染症には、クラミジア、淋菌、ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、HIV(エイズ)などがあります。放置して症状が進行すると、頚管炎や下腹痛などを起こしたり、病気によってはお腹の中全体に炎症がひろがり、膿がたまったり、不妊の原因になったりもします。

※2萎縮性膣炎(老人性膣炎)

加齢などによる女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって膣粘膜は萎縮し乾燥しやすい状態になります。すると炎症を起こし、痒みやピリピリとした痛みを感じるようになります。

不正出血

月経前、3~10日の間に起こる心身の様々な不快症状で、月経開始とともに軽快・消失します。身体的症状としては腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。精神的症状としては情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、倦怠感などがあります。月経前に毎月出現し、月経開始後に緩和することが特徴であるため、診断ではまず出現症状を記録し、月経周期との関連を確認します。治療はピルや漢方薬等を用います。

PMS

月経時以外で性器から出血することを不正性器出血といいます。重大な病気のサインとしても現れることがありますので注意が必要です。
不正出血の原因には、炎症によるもの(病原菌感染、子宮内膜炎、萎縮性腟炎など)、ホルモン異常によるもの、良性の腫瘍(子宮頸部・内膜のポリープ、子宮筋腫など)、悪性腫瘍(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣腫瘍、子宮肉腫、腟がん)、妊娠に関連するものがあります。出

更年期症候群

日本人女性の平均的な閉経時期は約50歳といわれ、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を「更年期」といいます。この時期は女性ホルモンがゆらぎながら低下していき、それに伴い、心身に様々な不調が現れ生活に支障をきたすこともあります。
薬物療法を行うのが一般的です。薬物療法では、ホルモン補充療法、漢方薬、プラセンタ注射、向精神薬が用いられることもあります。

子宮頸がん

子宮頸がんは主にヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、性的接触により子宮頸部に感染して生じるがんです。子宮頸部(子宮の入口付近)という場所にでき、進行したがんの場合、婦人科の診察で発見されることもあります。20、30代の女性のがんの中で多くを占めます。日本では毎年、約1万人の女性が診断され、毎年約3000人の女性が亡くなっています。ただ、早期に発見すれば比較的治療がしやすく予後の良いがんですが、進行すると治療が難しくなるため、早期発見、早期治療が極めて重要です。
症状としては月経とは無関係の出血やおりものの増加などがありますが、初期の場合、自覚症状はありません。2年に1回の子宮頸がんの検診を受けましょう。また、HPVワクチンの接種も非常に重要です。公費の対象でない方もご希望があれば任意でHPVワクチンを受けることもできます。HPVワクチンを接種した方も定期的な子宮がん検診が必要です。

子宮体がん

子宮体がんとは、子宮体部(子宮の奥の部位)に生じるがんのことです。この部分を子宮内膜といい、月経が起きる元にもなっています。子宮体がんは近年罹患者が増加していることでも知られています。子宮体がんの初期症状としてあげられるのが月経以外の不正出血です。子宮体がんは子宮頸がんと比較すると症状が早期に出やすく、サインが分かりやすいといわれています。
特に子宮体がんは閉経後の女性に多いがんでもあるため、不正出血にも気付きやすいはずです。子宮体がんの治療方法には手術治療、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法があげられます。

子宮脱

加齢の変化で骨盤底の筋肉が弱くなり、子宮や腟壁が正常の位置より病的に下垂する病気です。進行すると腟外に子宮、腟、膀胱、腸管などの臓器が排出された状態になります。更年期以降の女性に認められ、お産経験がある女性の約半数に生じるともいわれています。
自覚症状は尿失禁や頻尿、異物感などが生じてきますが。治療は体操(骨盤底筋訓練)、ペッサリー(腟内に器具を入れて下垂を抑える)療法、手術療法があります。

膀胱炎

女性に多く、頻尿、血尿、排尿時の痛み、残尿感が特徴的な病気です。通常は抗生剤治療で1週間以内に完治することがほとんどです。

妊娠したかも

生理予定日に生理がこなければ、市販の妊娠検査薬で確認をしましょう。陽性がでたら1週間から2週間の間にご来院ください。ただし月経不順の場合は陰性であっても妊娠の可能性もあります。ご心配なら、一度受診をしたほうがいいでしょう。

妊娠したい

赤ちゃんを望んでもなかなか授からないと考えた時にまず『妊活』という言葉を思い浮かべる方は多いでしょう。しかしいざ妊活しようと思っても何から始めればいいのかわからない人も多いはずです。妊活にいろいろな方法がありますが、一度ご来院をして現在の状況、今後の流れをご相談しましょう。一人ひとりはご年齢、ご家族、お仕事など背景はさまざまです。ご自分にあった方法など専門機関を受診しされることで、一歩前に踏み出します。まずはご相談からはじめませんか。

その他

  • 思春期外来(月経不順、こころのなやみ、拒食症・過食症)
  • HPVワクチン(公費・自費)
  • 子宮頸がん・体癌検診(自治体補助の検診、自費診療)
  • ピル、アフターピル(緊急避妊薬)、避妊器具、月経移動